秋の野草・セキヤノアキチョウジ |
セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字・シソ科)
名の由来は秋に咲く丁字型の花で、関屋とは関所のあった箱根のことを指す。その周辺で多く見られるということだろう。
山地の木陰に生える背丈が30~90cmの多年草で、細く伸びた枝先に青紫色から淡青色の唇型花を付ける。同じ仲間にアキチョウジがあり、岐阜県西部から四国・九州に分布し非常によく似ていて分かりにくいが、萼の先の形状や花柄の毛の有無などで見分けられる。
花期は9~10月、アキチョウジはこれよりも少し花期が早く8月半ば頃から咲き出す。東三河地方で見られるアキチョウジの大半はセキヤノアキチョウジのようである。
(撮影・・豊橋市・石巻山)
花は透きとおるように美しく、薄暗い場所では時折陽射しを受け輝く・・
(セキヤノアキチョウジの思い出)
20数年ほど前、奥三河にある鳳来湖の山中でこのセキヤノアキチョウジの群生を見つけ撮ったことがある。湖を通り抜けそこから山中深く歩いた所で、若い頃は一人平気で山に入っていた。20分ほど花の前に陣取り撮っていた、と突然すぐ目の前の茂みから大きなものが飛び出し上に跳ね上がった。距離にして3m足らずの至近距離・・
辺りは静まり返った場所だっただけに余計に驚いた。腰を落とし撮影をしていたので思わずひっくり返りそうになり、熊かと目を追ったら大きな猿だった。猿は木の上に跳び上がり威嚇するかのように大きな叫び声をこちらに向け発した。
おそらく私が猿のテリトリーに入った時から警戒し隠れて見ていたのだろう。それで我慢しきれずに飛び出したのか?・・。これは仲間がいることと思い、早々に引き上げた・・。その時撮った花のポジを見るたびにあの日のことを思い出す。
*先日は新城の山中で鹿と遭遇、大きなカメラを向けたら逃げられそうで、そのまま見ていたら安心したのか、続けて5頭の大きな鹿がぞろぞろと藪から出てきてビックリ!、全6頭、野生の群れを間近で初めて見た・・圧巻!。彼らは悠然と木の葉を食べ始めた・・、が、一頭だけは私をじっと見ていた。見張り役なのだろう・・。
後で一枚でも撮っておけばと悔やんだが、本心は熊でなくてほっと・・
セキヤノアキチョウジは萼の先が尖り、花柄は長く毛はない